日頃より本会の活動には、ご理解とご支援をいただきまして心より御礼申し上げます。
この度、前会長、國本洋志先生の後を受け、顎顔面口腔育成研究会の第4代目の会長に就任いたしました小渕匡清と申します。皆様にご挨拶申し上げます。
新型コロナウイルスのパンデミックにより、誰しも経験したことのない不安な日常生活や、社会活動が制限されるなど、大きく環境が変化する中でなされた國本洋志先生の2年間のご尽力とご活躍には心より感謝申し上げます。
私は、本会が発足された2012年に「RAMPA Therapy」を学び始め、初代会長の三谷 寧先生、そして清水正裕先生のご指導をいただきました。
10年という節目を迎えるこの時に、3名の偉大な先生方の後を継ぐという不安と責任の重さを痛感しております。浅学菲才ではありますが、全力で職務に邁進する所存でありますので、これまで以上に皆様方のご指導、ご支援を心からお願い申し上げます。
私は大学卒業後、口腔外科学教室に入局し外科的矯正治療に専念する機会をいただき、現在も非常勤講師として大学病院や関連病院で顎矯正手術に参加しております。同時に出身地である和歌山県南部の過疎地で開業し、幼児から高齢者までの歯科治療を行っております。乳幼児健診を30年ほど行っておりますが、以前より理想的な歯列や顎顔面骨格形態を持つ子供をみることが非常に少ないと感じます。しっかりと自分で歩いて来院されるご高齢の患者様と骨格を比べると、その子供たちの未来を案じてしまいます。
一方、卒業当初は全身麻酔下で行う顎矯正手術に参加するたびに、何故これほどの顎顔面骨格の不調和に至ったのかを考えておりました。手術の目的には機能的改善と審美的改善がありますが、その頃はほとんど審美的改善が主たる目的と考えられていました。しかし不正咬合や顎変形症の原因には生後から成長期における環境や機能的な問題が大きく関与していることがわかりました。最近では特に上下顎移動術の場合は術後に咀嚼や嚥下、呼吸などの機能改善が得られることが多く報告されています。
このように、成長期が終わってからの手術で機能改善が得られるのは素晴らしいことですが、成長期の早期に顎顔面形態を適切に改善することができれば、患者は口腔内のみならず全身的な機能の向上が得られることになります。
そのために研究会の研修テーマである「顎顔面領域の前方成長」の意義をより多くの人たちに伝え、歯科口腔領域だけでなく全身の健康づくりを目指して、顎顔面口腔育成治療を進化、発展させることが我々の責務であると思います。
私たちの活動が将来を担う子供たちのお役に立てることを願います。
これからの2年間、役員の先生方と力を合わせて学びやすい研究会になるよう努めてまいります。重ねて会員の皆様のご理解とお力添えをお願い致します。
2022年6月吉日
第4代 JACG 会長 小渕匡清