大会初日午前にご講演されました山本 篤先生は、サックス奏者で理学療法士でもあるというとてもユニークな略歴の先生でした。
先生は「すべての音楽表現にとって口腔機能の向上が大変重要」と仰っており、トーマスマイヤー先生の提唱する「アナトミートレイン」の導入を初めての方でも、とても理解しやすいよう講演して頂きました。
『アナトミー・トレイン』とは、姿勢や動作の制御に重要な関わりを持つ、人体を走る筋肉・筋膜経のつながりの「ライン」の事で、筋膜は筋肉を繋げるネットワークとして、全身に7つのラインを構成しています。
音楽家(理学療法士)と歯科と筋肉と筋膜、一見つながりが想像つかないかと思います。
でも実は深く関連があるのです。
楽器と体の接点(主に管楽器)はどこかと考えると、上顎、下顎、歯、口唇です。
良い演奏を行うためには健康な口腔がとても重要で、健康な口腔育成を目的としている顎顔面口腔育成研究会と音楽奏者は非常に密接に関係します。
また上顎、下顎を構成している頭部を動かしているものが筋肉であり、音楽を演奏する際使う筋肉は顔面筋、首筋だけではなく上半身から下半身まですべての筋肉を連動させ演奏します。
そのすべての筋肉をうまく連動させているのが筋膜なのです。
頭からつま先まで全身はつながっており、身体の良いバランス、悪いバランスにより奏でる音も影響を受けます。
そのバランスをまとめている筋膜がうまく機能していないと良い演奏はできません。
この4つの領域を束ねるヒントを山本先生はとても分かりやすく実際のサックスの音色を使いながら、筋膜の重要性を2日目のトーマスマイヤー先生の講義につながるよう講演してくださいました。
我々歯科医師も口腔だけでなく枠組みを広げて全体を診ることがとても重要だと感じられ、当研究会の財産となる貴重な講演となりました。(記:岡村)